Egg Shell あらすじ 第二章

第二章
 アキが姿を消したことにより、管理エリアは大混乱となる。管理者という地位を譲るというメッセージにも驚きを隠せない皆。考えた末、ショウたちはこの事実を公表することなく、また管理者の地位もそのままでアキの捜索をおこなうことに決めた。
 しかしひた隠しにされるべき事実は「管理者アキの不在」という噂となってEgg Shellの中に影のように広まり始める。

 植物エリアのリーダーであるハルは、「管理者不在」という噂をスタッフのひとりであるメイから聞き、悩みを深くしていた。なぜなら、その不在であるはずの管理者・アキから彼宛の極秘メッセージが届いていたからだった。
 曰く、「Egg Shell解放計画」に力を貸して欲しい、と。そしてそのメッセージには、誰にも知られてはならないはずの、ハルの過去、そして父についてのキィワードが記されてあった。
 メンバーたち、特に密かに思いを寄せているメイに自分の過去を知られたくなかったハルは、そのメッセージと前後して現れた女性・ファムに連れられてEgg Shell内部の区域へと向かう。そこには、Egg Shellから姿を消していた管理者アキの姿があった。
 ハルの過去を引き合いに出し、「Egg Shell解放計画」への協力を迫るアキとファム。
 「解放」と名はつくものの実質Egg Shellを滅ぼしかねないその恐ろしい計画に、はじめは抵抗の意を示すハルだった。しかし、結局は自らに秘された過去に屈し、従うことを了承してしまう。
 その事実をひた隠しにしようとするハルだったが、偶然によりいちばん知られたくなかったメイの知るところとなってしまう。過去が気になって言い訳もできないでいるハル。メイはそんな彼に激しい感情をぶつけ、手を振り払ってしまう。思いつめた彼は植物エリアのリーダーを退き、姿を消してしまった。
 ハルが本格的に加わったことにより、「Egg Shell解放計画」はその速度を増してゆく。
 しかし計画を遂行する側の中に微妙な、そして致命的ともいえるずれが生じ始めていた。
 ファムを想うあまりに盲目的に彼女に従い、その優れた能力を行使するのにためらいがないアキ。
 ひたすら待ち望んでいた「解放」の日を目前にしてはじめて、自分の中に違う思いが生まれているのを知り戸惑うファム。
 そして、ただ唯々諾々と計画に従っているわけではないらしいハル。

 「管理者不在」の噂は広まりつづけ、もはや抑えるのが難しい頃になっていた。その対策に追われるショウはある日、管理者専用端末の中にあった外界との通信記録を見てしまう。その記録によればもう十一年も前に、外界からの連絡は途絶えていた。それはすなわち、外の世界が滅んでしまったであろうことを意味する。
 ショウのことを密かに想い心配してやってきたヒロもその事実を知り、ふたりそろって絶望に打ちひしがれる。
 別の手段によって同様の情報を目にしていた教育統括者のリアリィの気遣いも功を奏することなく、ただ呆然とするショウたち。
 が、偶然発見されたディスクにより、転機が訪れる。
 Egg Shellの憩いの場たる広間に収められていたそのディスクは、「Egg Shell」計画に携わった研究者のひとり、ヒロの父によって作られたものだった。そのディスクには、外界との連絡が途絶えてしまった事態を予測し、その後の対策について記してあった。
 外界での生存が可能であればEgg Shellより出て、新たな人類の祖となること。
 それが無理であればシェルター内に隠された宇宙船により地球を出て、放り出されたままになっている廃園――緑化の進みつつある火星へ向かうこと。
 ここになってはじめて「Egg Shell」の隠された意図が明らかになり、わずかな希望を求めてショウたちは動き出すことになる。
 切り札であるその計画を実行するためには、真実を告げることが必要不可欠であった。
 そのため、ショウはまず自らの属する管理エリアにおいて、連絡が途絶えたこと、そして残された切り札があることを伝える。一時は混乱しかけた管理エリアだが、ショウの強い決意を知り、皆彼女に従うことを受け入れる。
 シェルター内各業務を担当するそれぞれのエリアのリーダーにも同じことを伝え、いよいよ全住民に事実を伝えることになったその時、突然シェルター内の電力がダウンし、Egg Shellは闇に包まれる。
 それと同時に、「選ばれた」者たちに反感を抱いていた少数の住民がEgg Shellを出て行こうと叛乱の声を挙げ、シェルター内はとてつもない混乱に巻き込まれることになる。